2021年03月29日

データ復旧と暗号化HDD

外付けのHDD(特に2.5インチのポータブルサイズ)に”暗号化 パスワード保護”や”セキュリティ機能を搭載した暗号化ハードディスク”等と謳ったものが結構見られます。
特に昨今のテレワーク環境では企業内のサーバーに保存することが出来ないためこれら暗号化HDDが推奨されることもあるようです。
これらのハードディスクの暗号化は強固でこれを破ることはほぼ不可能です。
もちろん強度の高いパスワードを適正に管理していればです。
※今更ですが誕生日、電話番号、使用者の名前 等を使用していないパスワードという意味ですが。

私共のようなデータ復旧業者にはしばしばこれら暗号化HDDの復旧依頼が来ます。
実は暗号化HDDはデータ復旧が困難であることが多いのです。
データ復旧ができないではなく 復旧しても復号化(暗号を平文に直す)が困難なことが多いのです。

過去にも説明したことはあるのですが 最近また暗号化HDDの復旧依頼が増えつつあるので改めて解説します。

<殆どの方が知らない現実>
暗号化HDDはパスワードを設定していなくとも内部では暗号化されて保存されているのです。
「パスワードをかけていなければ暗号化されていないのでは。データの読み出しは何もしなくても普通に読める。」と言われるかもしれません。
実は
1.PCからデータを書き込む時 外付けハードディスク内の基板上に暗号化チップにより自動的に暗号化されて内蔵されているHDDに保存されている。
2.データを読みだす時1.の逆に自動的に復号され平文のデータとしてPCに読み込まれる。
という工程を経ているのです。
パスワードを設定した場合 この読み出し時にパスワードを要求される様になるのです。
3.基板上の暗号化チップと内蔵されているHDDは紐づけされており(同じ製品であっても)他のケースに入れると復号できません。
例えば「外付けHDDのコネクターが壊れてしまって接続できなくなったので同じ型番の製品を買ってきて中身のHDDを入れ替えた」場合などです。
※ビデオのHDDレコーダーも同様でレコーダーが壊れたから同じ型番の製品を探してきてHDDを乗せ換えても再生できません。

使用されている暗号は極めて強固で正規の手順以外で解読することはほぼ不可能です。

要するにこれら暗号化HDDに障害が発生してデータ復旧できたとしてもそれを使用できるデータに戻すことは難しいのです。

また たまにお問い合わせいただくケースで
「パスワードを設定していた。突然パスワードが通らなくなりデータが読み出せなくなった。」と云うのがあります。
おそらく 使用している方が何か間違えた操作をしたということではなく 何らかの障害によりパスワードを認識しなくなってしまったものと思います。

このケースではデータの救出はほぼ無理です。

ということで パスワードを設定する、しないにかかわらずこれら暗号化対応HDDを使用する場合は より確実にバックアップを採ってください。

自分自身のデータを失うという観点からは これらハードウェアによる暗号化ハードディスクは使用しないほうが無難です。
セキュリティは他の方法で考えてください。
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posted by den-now at 14:06| Comment(0) | 日記