先日何年か前にデータ復旧した方からの電話
”メモリースティック”は本来SONYが中心となって開発されたメモリーカードであるが SDメモリーに押されていつの間にかほとんど見かけなくなってしまった。
ただ一般の方が「メモリースティックが・・・」といった場合本来のメモリーステックのことを言っていることはまずない。
一般の人はUSBメモリーを”メモリースティック”という名称だと思い込んでいるだけ。
今回もUSBメモリーのトラブルだった。
詳しく聞いてみると
「数日前からグラグラして押さえつけないと認識しなくなっていた。瞬間接着剤を流し込んで固定したら認識しなくなった。
メモリーからデータを開いて、作業後そのままメモリーに保存していた。」
本件は復旧作業以前にいくつか重大な問題があります。
1.メモリーから直接データを開いて 作業後にメモリーに直接保存していた。
※パソコン本体にはデータを保存していない。
2.何日も前から(グラグラして)接触不良の兆候を示していたのにバックアップしていなかった。
3.固定したら直るだろうと考えて 接着剤を使った。
まず
<1.番目メモリーの寿命は極めて短い>
メモリーに直接データを読み書きしてパソコン側に保存していない。
こんな使い方をしている人はたくさんいます。いやたくさんどころかメモリーにデータを保存している人のほとんどはこんな使い方をしています。
例えば 小規模事業主の場合 従業員の給与明細等の人に見せられないデータをめもりーに保存しそれを自分で管理することによりデータの秘密が守られると考えるからです。
すでにお気づきの方もいると思いますが、USBメモリー(に限らずフラッシュメモリ)は きわめて寿命が短いのです。
記録の最小単位であるセルは500回の書き込みで寿命を迎えると言われています。
つまり頻繁に使用する場合 一年以内に寿命を迎え読み書きができなくなることがあるのです。
一般の方は メモリーに寿命があることなど考えたこともなく 壊れないものと思い込んでいます。
<2.番目USBの構造上の問題>
これも同様なのですがメモリーに対する過信(壊れるなどと考えたこともない)からバックアップを取らなかった。
USBメモリーはメモリーセルの寿命だけでなく 非常に脆弱な構造をしているのです。
USBプラグは基板上に4点、裏側で2点ではんだ付けされているだけで上下方向の力に対して極めて弱い。
※はんだや基盤のパターンが簡単にちぎれる
<3.接着剤の使用>
これも少し考えるとお分かりいただけるが 接触不良を起こしているのははんだが千切れかけているのであって
接着剤を使うと千切れかけた半田の間に入ってしまい完全に絶縁してしまう。
<結果>
本件は幸い 接着剤がパターン上に流れておらずメモリーの分解を困難にした程度だった。
本来の原因は 4カ所のはんだのうち2点と裏側の2カ所のはんだが割れていたこと。
少々てこずったが何とかはんだを修正し データの抽出ができた。
USBメモリーからデータを開いてそのまま保存している人
その使い方は今すぐやめて きちんとバックアップ(もしくはパソコン上にも保存する)しましょう。
本当に、本当に 泣きを見ますよ。