2021年08月06日

Windows ソフト込みのデータ復旧

最近 2件立て続けで
「起動しなくなったPCをデータ復旧してWindowsとインストールされているソフトを動くようにしてほしい。」
という依頼があった。

どちらも古いパソコン(PC)で使用しているWindowsも古く(Windows2000)HDDも片方はIDE(パラレル)もう一方はSCSI。
IDEのほうはソフトのインストールディスクはあるがOSは無し。
今時Windows2000がまともに動くPCを探すことも難しくなっている。
VMwearを使用し最新のwindows上で仮想的に古いOSを動かすことも可能だが この場合正規のインストールディスクがあることが大前提となる。
※過去にWindowsXPをWindows10上で仮想的に動かし、その上でシステムを再構築したことはあります。

データ復旧というのは起動しなくなったPCからファイル単位でデータを取り出して他のパソコンで使えるようにすることで
起動しなくなったWindowsを起動できるようにすることやソフトを動くようにすることではない。
認識しなくなったり 場合によっては回転しなくなったHDDからファイル単位でデータを取り出す事は技術的にも確立しておりかなりな確率で復旧は可能。

しかしWindowsを起動できるようにすること、さらにソフトを使えるようにする事は極めて難しい。
ファイル単位のデータはたとえ一部に情報の欠損があったとしてもその部分を無視して復旧できる可能性は高い。

しかし Windows(OS)やソフトは一部の磁気情報が欠損していると動かない。
Windowsの場合 欠損しているファイルを他から持ってきて修復することもできないわけではないが 独自のソフト等ではその方法も使えない。
したがって ソフトが書きこまれている領域の磁気情報に欠損があるとそのソフトを動作できるように修復することは不可能です。

Windows(OS)の修復に関しても 一般的なデータ復旧を行ったうえでそのPCやWindowsに合わせてシステムの修復をおこなわねばならず大変な手間と時間がかかる。
※費用的にも通常のデータ復旧の数倍はかかります。

作業を行ったとしても復旧できる可能性は極めて低く お客様の負担も大きく データ復旧業者としてもリスクも大きく、このような作業はやりたくはありません。
「何が何でもこれらシステムを復旧させなければ膨大な損害(一千万単位)が発生する」という状況でもない限り絶対おすすめしません。

こんな事態にならないように 古いPCでインストールディスクもない状況で現在稼働しているなら 今すぐ手を打ちましょう。
正常に稼働さえしていれば 予備のシステムを作り上げることはそう難しい話ではありませんから。
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posted by den-now at 08:30| Comment(0) | 日記

2021年07月20日

USBメモリーデータ復旧(USBメモリーは簡単に壊れる)

「メモリースティックが読めなくなった。会社の大事なデータが入っており困っている。」
先日何年か前にデータ復旧した方からの電話
”メモリースティック”は本来SONYが中心となって開発されたメモリーカードであるが SDメモリーに押されていつの間にかほとんど見かけなくなってしまった。
ただ一般の方が「メモリースティックが・・・」といった場合本来のメモリーステックのことを言っていることはまずない。
一般の人はUSBメモリーを”メモリースティック”という名称だと思い込んでいるだけ。
今回もUSBメモリーのトラブルだった。

詳しく聞いてみると
「数日前からグラグラして押さえつけないと認識しなくなっていた。瞬間接着剤を流し込んで固定したら認識しなくなった。
メモリーからデータを開いて、作業後そのままメモリーに保存していた。」

本件は復旧作業以前にいくつか重大な問題があります。

1.メモリーから直接データを開いて 作業後にメモリーに直接保存していた。
  ※パソコン本体にはデータを保存していない。

2.何日も前から(グラグラして)接触不良の兆候を示していたのにバックアップしていなかった。

3.固定したら直るだろうと考えて 接着剤を使った。


まず
<1.番目メモリーの寿命は極めて短い>
メモリーに直接データを読み書きしてパソコン側に保存していない。
こんな使い方をしている人はたくさんいます。いやたくさんどころかメモリーにデータを保存している人のほとんどはこんな使い方をしています。
例えば 小規模事業主の場合 従業員の給与明細等の人に見せられないデータをめもりーに保存しそれを自分で管理することによりデータの秘密が守られると考えるからです。
すでにお気づきの方もいると思いますが、USBメモリー(に限らずフラッシュメモリ)は きわめて寿命が短いのです。
記録の最小単位であるセルは500回の書き込みで寿命を迎えると言われています。
つまり頻繁に使用する場合 一年以内に寿命を迎え読み書きができなくなることがあるのです。

一般の方は メモリーに寿命があることなど考えたこともなく 壊れないものと思い込んでいます。

<2.番目USBの構造上の問題>
これも同様なのですがメモリーに対する過信(壊れるなどと考えたこともない)からバックアップを取らなかった。
USBメモリーはメモリーセルの寿命だけでなく 非常に脆弱な構造をしているのです。
USBプラグは基板上に4点、裏側で2点ではんだ付けされているだけで上下方向の力に対して極めて弱い。
※はんだや基盤のパターンが簡単にちぎれる


<3.接着剤の使用>
これも少し考えるとお分かりいただけるが 接触不良を起こしているのははんだが千切れかけているのであって
接着剤を使うと千切れかけた半田の間に入ってしまい完全に絶縁してしまう。

<結果>
本件は幸い 接着剤がパターン上に流れておらずメモリーの分解を困難にした程度だった。
本来の原因は 4カ所のはんだのうち2点と裏側の2カ所のはんだが割れていたこと。
少々てこずったが何とかはんだを修正し データの抽出ができた。

USBメモリーからデータを開いてそのまま保存している人
その使い方は今すぐやめて きちんとバックアップ(もしくはパソコン上にも保存する)しましょう。

本当に、本当に 泣きを見ますよ。
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posted by den-now at 15:05| Comment(0) | 日記

2021年06月25日

SSDデータ復旧の問題点

私共も含めデータ復旧業者は「SSDも対応します。」と言っていますが
はっきり言うとSSDのデータ復旧はかなり困難です。
正確に言うと”現時点では”ということになります。

もちろん 其の障害によっては比較的簡単に復旧できるものはあります。
しかしすでに研究(開発)されつくしたハードディスクに比べ SSDはまだまだ発展途上。
その為 新機種が出ると新しい技術(考え方)が試されます。
特にこれらがファームウェアがらみになると過去(現時点)の復旧ノウハウが使えないことが多いのです。
したがって ハードディスクなら復旧できたファームウェア障害がSSD復旧できないケースが多くあります。

将来 SSDの技術が成熟し(固まり)それに伴い復旧技術のノウハウが蓄積されるまでこのような状況が続くでしょう。
SSDを使っている方はHDDより確実にバックアップを取りましょう。
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posted by den-now at 18:52| Comment(0) | 日記